気がつけば愛でした




「…さぁ?」



高柳が動揺するのがわかった。それが珍しくて、だから余計に言ってほしくなる。



「言ってよ。好きじゃないなら何なの?」

「そう何回も言いません」



高柳がそう言って静奈から離れようと一歩さがる。


だから今度は静奈から抱きつき、胸に顔をうずめながら言った。



「律。愛してるよ」



恥ずかしくてギュッと力が入る。

頭上で高柳が息をのむのがわかった。



「お前…だから反則」



何が“だから”なのだろうか。


聞きたかったが、それを言葉にする前に唇を高柳に塞がれる。


ゆっくり、しっとり。


お互いを確かめるように唇を合わせる。



本当は言葉にしなくても伝わるのだ。




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