気がつけば愛でした



「ベッドまで運んで寝かせた。何もしてねぇよ。」



そう言って、疲れたようにため息をついた。
静奈は疑問を口にする。


「何で隣で寝ていたの!?」

「あれは…」



高柳はラフな格好で隣で寝ていた。

サラサラな黒髪が手に触れていた感触を思い出し、恥ずかしくなった静奈は高柳から目を逸らす。


「風呂から上がって様子を見に行った俺に寝ぼけて抱きついてきたのは、橘。お前だからな。」

「えぇっ!?嘘!私が!?」



高柳は決してふざけているわけでもなさそうで、むしろちょっと怒っているようにも見えた。

そんな…。大迷惑かけたの自分じゃない…。

自分から関わりを持っていたのだと、今更ながら静奈は自覚した。



「俺の身にもなれっての」



あまりにもショックでボソッと言った高柳のこの言葉は耳に入っていなかった。



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