気がつけば愛でした
「…」
「それでは失礼します」
もう一度丁寧に頭を下げ、玄関のドアノブに手をかけた。
その時。
グイッ。
強い力で腕を引っ張られ、ダンッとそのまま壁に押し付けられる。
「!?高柳さ……」
静奈はそれ以上言葉を発せなかった。
いや、発することが出来なかったから。
見上げたとたん、高柳の唇が静奈の唇に押し当てられていたのだ。
驚いて身じろぎすると、高柳の腕が背中と腰に周り、静奈の身体をその腕の中に閉じ込める。
突然のことで混乱する静奈にお構いなしに、激しいキスは止まない。
「んっ……」
苦しくて思わず声が漏れる。