気がつけば愛でした
高柳の柔らかい唇が静奈を翻弄する。
初めは抵抗しようともがいた腕も、その激しいキスに次第に力が入らなくなり、それどころか思わず高柳のシャツをギュッと握り締める。
そしてチュッと音を立て唇が離れた。
「っ…なん…で…」
シャツを握ったまま肩で息をする静奈を高柳は静かに見下ろす。
しかしその目は冷たく、静奈はますます動揺した。
「昨日のお礼。このくらいはしてもらわなきゃな。」
「っ!」
低くかすれた声にゾクッとし、一気に顔が赤くなる。
「ふ、ふざけないで!」
腕に力を入れ、目の前の高柳を思いっきり突き飛ばすと、静奈は鞄を掴んで部屋を飛び出していった。
「…やりすぎたか…。」
ひとり残った高柳はそう呟いた。
ここまでするつもりはなかった。しかし、早く帰りたそうな静奈を見てなんだかイラっとしてしまい、気が付いたらキスしていたのだ。