気がつけば愛でした
「ふざけんなー!!」
静奈は壁に向かってクッションを投げつけた。
ワンルームの部屋は静奈のイライラで充満している。
「何が…何がお礼よ!他にも何かあったでしょう!?俺様にも程があるわっ。馬鹿にしてー!あんなっ…あんな……」
あんな…キス…。
「何よ…」
…正直、久し振りだった。苦しいだけでなく、一瞬、気持ち良くなってしまったのも事実で。
高柳相手にそんな気持ちになった自分が静奈は腹ただしかった。
そっと唇を指でなぞる。
高柳の唇の感触を思い出し、一気に赤面してしまう。
「やっぱり嫌いよ、あんな奴…」
ベッドに寝っ転がり、唇を噛む。
やっぱり冷たくて俺様でやな奴だった。
第一印象と変わらない。
静奈はソッと目を閉じ、初めて会った日を思い出した。