気がつけば愛でした
「そうですか?」
「う~ん、何となく。」
「最近、忙しかったからですかね。」
「ちゃんと食べてる?」
「まぁ、普通には。」
痩せたことなど気にも止めていないように言う。静奈には見た目にわからなかったが…。
「ちゃんと食わないと駄目だぞ、律。」
「え?」
突然の名前呼びの、その低い声に高柳ではなく静奈が驚いて反応する。
「え?今…?」
「ん?今喋ったの俺だよ?」
そう社長がニッコリ微笑む。
自然な会話だったが、なぜ社長が高柳を名前で呼ぶのだろうか。
「あぁ、社長は高柳君とは大学が一緒なんだよ。ね?」
静奈の疑問を察して高杉がそう説明してくれた。