気がつけば愛でした



「そうですか?」

「う~ん、何となく。」
「最近、忙しかったからですかね。」

「ちゃんと食べてる?」
「まぁ、普通には。」



痩せたことなど気にも止めていないように言う。静奈には見た目にわからなかったが…。



「ちゃんと食わないと駄目だぞ、律。」

「え?」



突然の名前呼びの、その低い声に高柳ではなく静奈が驚いて反応する。



「え?今…?」

「ん?今喋ったの俺だよ?」



そう社長がニッコリ微笑む。
自然な会話だったが、なぜ社長が高柳を名前で呼ぶのだろうか。



「あぁ、社長は高柳君とは大学が一緒なんだよ。ね?」



静奈の疑問を察して高杉がそう説明してくれた。


< 62 / 348 >

この作品をシェア

pagetop