気がつけば愛でした



「えぇ、まぁ…」



そう相槌を打って高柳は静奈を見る。一瞬目が合ったが、また逸らされてしまった。



「まぁ、無理しないように。期待してるぜ、我が社のエース。」



社長はトレーを片付けながら、通り縋りに高柳の肩をポンと叩いた。



「…ありがとうございます。」



そう低く返事をし、社長が歩いて行った方をいつまでも見ていた。

静かに見送るその目線に何かあるのか静奈も辿ったがわからなかった。



「あ、私もそろそろ失礼します。」

「あれ?静奈、午後は同行だっけ?」

「はい。伊藤商事とKグループです。帰りは18時過ぎるかと思います。」


そう言って静奈は席をたった。なるべく高柳を見ないように気をつけながら。



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