気がつけば愛でした



その声の先を見ると、高柳が怪訝な表情でデスクから2人を見ていた。

静かだし誰もいないと思っていたためハッとする 。



「おぅ、高柳。まだ残ってたの?」

「何してるんですか?」


高柳はそう尋ねながらパソコンの電源を落としている。



「今から静奈ちゃんとご飯行こうとおもってさ♪あ、お前は駄目だぜ?」


得意そうに言う上村に困った目線を向け、そのまま高柳を見る。


そんな静奈を見て高柳は大袈裟にため息をついてみせた。



「ロビーで大人しく待ってろつったろ。」

「え…」



その言葉は明らかに静奈へ向けられていた。



「高柳さん…?」

「どうーゆーこと?」

「すみません、上村さん。そいつ実は俺と待ち合わせしていたんです。」
「はぁ!?」



驚く上村を無視して、鞄を手にして帰る準備をした高柳が静奈の隣に立つ。
その目は“合わせろ”と言っているようで、静奈も「そうなんです!」と返事をしていた。



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