気がつけば愛でした
「お二人に…です」
静奈が後ずさると高柳は一歩近づいてくる。
気がつけば壁と高柳に挟まれていた。
「何で近寄るんですか!?」
「アンタが逃げるから。…っかさ、感謝してるって割には随分な態度だよな?」
「そんな…ことは…」
「目に見えて俺をさけてんじゃん。何?そんなに俺が嫌いなの?」
「っ…」
本人を目の前にして嫌いだとは言えない。
しかし静奈の沈黙はイエスと捉えたようだった。
「へぇ…。そんなに嫌われていたとはな。キスする前からだよな?」
落胆した様子も見せずに淡々と言う。
何も答えない静奈に鼻で笑う。
「もしかして…3年前のこと根にもってんの?」
「えっ…」
3年前!?
驚いて顔を上げると高柳の右手が静奈の髪の中に差し入れられる。
そして後頭部を掴み、そのまま引き寄せられた。