気がつけば愛でした
「んっ…!?」
ビクンと身体が震えた。しまったと思ったがもう遅い。
後頭部はしっかり押さえられ、左手は腰に回って引き寄せられている。
顔を背けられず、静奈の唇はされるがままだった。
空いている手で高柳の背中を叩くが本人は気にする様子はなく、繰り返されるキスに静奈は力は入らない。
「ハァ……」
唇を離され一瞬空気を求めるが、それも束の間。すぐさま唇を塞がれる。
秘書室には二人がキスする水音が響く。
初めこそ抵抗していた静奈だが、その抵抗する力もなくなってきた。
この前のように力が抜けないよう、高柳にしがみつくしかない。
止めて、と突き飛ばせばいい。そう思う静奈だったが、身体が言うことを聞いてくれなかった。