気がつけば愛でした
「あの…」
高柳が黙っていると恐る恐る静奈が声をかけてきた。
また3年前がどうとか言うつもりか?それともキスしたことへの文句だろうか。高柳はそう思ったが静奈は意外な言葉を口にした。
「社長のこと、嫌いなんですか?」
「は?」
「だってさっき社長の事避けてるような気がしたから…」
静奈の言葉に少し驚く。あの一瞬の高柳を見ていたのだ。
「別に…避けてはいない」
本当だった。一応、社長だし、あからさまに避けたりはしない。
ただ高柳としてはあまり関わりたくないだけだった。
「そう…ですか。じゃぁ、気のせいですね。」
静奈は高柳の声が低くなった気がしたが、それ以上は追求しなかった。
大学の先輩後輩と言っていた。色々あるのだろう
そう思ったのだ。