恋涙
「なんで?」
片付けも終わって沈黙に耐えられなかった私は話を蒸し返した。
「別に。別れたいとか思わないの?」
「んー、小さい頃から一緒だったから離れるなんて考えられない。」
「宮城にだっていっぱいいるだろ。」
「あー何でだろうね。考えたこともなかった。」
「どこがいいわけ?結稀兄ちゃんの。」
「どこって言われても……分からないけど好き。」
「それ、結稀兄ちゃんも同じこと言ってたよ。」
そんな話をしていると、結稀と咲がトイレから出てくるのが見えた。
「あ、戻ってきたよ。」
私が立ち上がろうとすると、秋人は私の右手を掴んだ。
そして強い力で私の腕を引いた。
一瞬、何が起こったのか分からなかった。
秋人の唇と私の唇が重なってた。