恋涙
結稀は私の手をぐいぐい引っ張る。
どこに向かっているのかも分からず、私の頭の中は混乱してた。
「結稀、痛い!ちょっと落ち着いてよ。放して!」
私は思いっきり結稀の腕を振り払った。
結稀は振り返って私の顔を真顔でにらむ。
「ごめん・・・。」
とりあえず謝ろうと思った。
結稀は視線を少しずらして眉間にしわを寄せている。
「秋人が勝手にしたんだろ。」
私の目も見ないで結稀は話す。
「・・・・。」
「同意のもとかよっ!?」
「え・・ち、違うよ!」
私の焦った否定に、結稀はまた少しカチンときていたようだった。
そしてもう一度私の手を引くと、自分のところに私を強く引き寄せた。