恋涙
体勢を崩して私は倒れそうになった。
それと同時に結稀が思いっきり肩を掴んで唇を近付けてくる。
「ちょ・・待って!」
さっきので反射神経が良くなったのか、パターンがわかってきたのか、結稀がキスしたのは私の掌。
バチン、とすごい音がした。
やばい・・・と、このとき本気で思った。
コントやってるんじゃないんだから・・・。
結稀は右手で私の手を顔からよける。
「秋人とはできて、俺とはできないの?俺達付き合ってるんだぞ。」
「そういう問題じゃないでしょ!」
「じゃあどういう問題なんだよ!」
「それは・・・。」
「ちょっとは俺の気持ちも考えろよ。」
「じゃあ私の気持ちも考えてよ!」
「もういい。勝手にしろ。」
そう言って結稀は一人で帰ってしまった。