恋涙

なんでいつもこういう風になるんだろう。



私は結稀が走っていく後ろ姿を見えなくなるまでずっと見てた。




「絢香!」


突然名前を呼ばれて後ろを振り返った。



そこにいたのは咲だ。



「咲・・・。」



「もう!はい、これ荷物。」



「あ、ありがとう。」




私の力ない返事に咲はいろんなことに気付いていた。



「その様子だと喧嘩したみたいだね。」




「うん。・・・・秋人は?」



「あのあと無言で図書館出て行っちゃった。」




「そっか。」



「ちなみに柚也兄ちゃんと樹里はさっきのこと知らないからね。」



「え・・・?」




「ほら、二人ともトイレ長くて見てなかったみたい。だから余計なこと言わないほうがいいかと思って。」




咲の気配りはすごい。


「ね、公園行かない?なんか樹里が話したいことあるんだって。」




咲が私の顔を覗く。




私は結稀のことが気になって素直に返事ができない。




「とりあえずあの二人のことはいいよ。」



咲は笑って私の手を引いた。
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