恋涙
公園に着くと、樹里と柚也兄ちゃんがベンチに座っていた。
柚也兄ちゃんは私たちの姿を確認すると、「俺はもう樹里の話聞いたから。」と言って、家に帰っていった。
「で、樹里の話はなんなの?」
咲がいきなり話題に入った。
樹里は少し深呼吸をして、話しはじめた。
「私ね、来月引っ越すことになった。」
「えっ・・。」
私と咲は二人で声をあげた。
「なんで?転校するってこと?」
私が尋ねると、樹里は首をたてにふった。
「お父さんとお母さんが離婚することになったの。で、お母さんの実家が大阪だから、大阪に行くことになった。」
樹里の両親は私たちが小さい頃から仲が悪かった。
中学へ上がるころから別居を始めて、ついに離婚という形になったらしい。
「そうなんだ・・・」
私と咲はそれしか言えなかった。
「結稀と秋人は知ってるの?」
私が聞くと、樹里は下を向いた。
「秋人は知ってるけど、結稀くんは知らない。絢香たちと一緒に言おうと思ってたから。っていうか、あの二人さっき何かあったの?」
「別にいつもの喧嘩だよ。それよりなんで秋人は知ってるのよ。」
咲が不思議そうに聞く。
そこで意外な真実を知ることになる。