恋涙
揺れる想い
「私、結稀くんのこと好きだったでしょ・・」
樹里が私の顔を遠慮しがちに見る。
咲も私の顔を見る。
「私のことはいいから話しなよ。」
私は樹里に言った。
「それで、落ち込んでるときに秋人がうちまで来てくれたの。なんかよくわからない難しい本を私に投げて、これでも読めって。」
「それ慰めになってないじゃない。」
咲が鋭くつっこむ。
「その本をぱらぱらめくったら、四つ葉のクローバーが入ってた。」
「幸せがくるよって言いたかったんじゃない?秋、不器用だから。」
私が補足した。
樹里は頷いてまた話し始めた。
「それから秋人のこと意識するようになって・・・だから親の離婚のことも、引っ越しのことも先に話したんだ。」
樹里は秋人の優しさに気づいて、秋人を好きになったんだ。
だからこそ、さっきの出来事を知られなくて良かった。
これ以上樹里を苦しめたくない。
幸せになってもらいたい。
そう思った。