恋涙

永遠の誓い


2002年、夏。




図書館でのキス事件、樹里の引っ越し、本当にいろんなことがあって結局ケンカばかりの夏だった。




あっという間に夏休みは過ぎ、私は宮城に帰ることになった。




駅までは結稀が送ってくれた。



電車が来るまで二人とも無言。




時間がもったいないから何かを話そうとするんだけど、悲しくて、さみしくて、言葉が出なかった。




「間もなく下り列車が参ります。」



そのアナウンスが流れ、私は立ち上がった。




「じゃあ、行くね。」




私は改札を通ってホームに向かった。



ホームから改札前に立っている結稀が見える。




右から列車が見えたとき、結稀が叫んだ。




「今度はおれがそっちに行くけぇ!すぐに行くけぇ!待っとれ!」






そのあとすぐに列車が私たちを遮った。




もう声は届かない。





私はケータイを取り出し、「待ってる。」とメールを打った。





電車に乗ると、ケータイを見てる結稀が見えた。






発車のベルが鳴って、ドアがゆっくり閉まった。




私が手を振ると結稀も手を振った。






これが結稀に会いに茨城に行った最後の年。
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