恋涙
そして土曜日、結稀は電車で本当に会いにきてくれた。
地元の駅で結稀を迎えるのは新鮮で、結稀が宮城にいることが嬉しかった。
私は結稀が着く40分も前に駅に行って待ってた。
やっとアナウンスが入り、電車がホームの中に入ってきた。
降りてくる結稀に手を振ると、結稀も笑顔で手を振った。
たった一週間とちょっと離れていただけなのに、何年も離れて久し振りに再会したような気持ちだった。
「久し振り。」
結稀は私の頭をなでる。
「どれくらいこっちにいられるの?」
「あー、母さんたちに言わないで出てきたから今日の夜には戻るつもり。」
「え!おばさんに言わないで来たの!?」
「まぁ、いいじゃん。それよりどうする?あんまり時間ないし。」
「うーん・・・どこ行きたい?」
「絢香の住んでる街一周しようよ。」
「はぁ!?ここは茨城みたいな田舎じゃないんだよ。市内回ったら日が暮れるよ!」
「じゃあ、海行こう!」
結稀の半ば強引な決断だったけど、二人で海に行ったことはなかったから私も賛成した。
だけど、駅から歩くには遠すぎる。
結局、私の乗ってきた自転車で二人乗りをして海に向かった。