恋涙
自転車でも一時間はかかった。
車なら15分もかからないで行っちゃうんだけどね。
着いたのはお昼すぎ。
海辺には誰もいなかった。
「お、誰もいない。ラッキーだね。」
結稀は私の手を引いた。
まだ残暑が厳しい八月。
私たちは靴を脱いで海の中に足を入れた。
しばらく二人で遊んでいると、すごく大きな波がきた。
逃げようとしたけど間に合わず、波に足を取られ、二人揃って転んで全身びしょぬれになった。
「やだー。」
私が起き上がると、結稀は爆笑してる。
「こういうハプニングもありだね。」
「そんなこと言ってる場合じゃないよ。」
とりあえず脱げるところまで服を脱いで、近くにあった大きな岩に干した。