恋涙
服が乾くまで、私たちはその岩を背もたれにして話した。
すると急に結稀が「砂崩しやろう!」と言い出した。
「何で?」と聞いても、「いいから、いいから。」と笑う。
しょうがないなぁ、と砂を集めて近くにあった木の枝を砂山の中央に立てた。
少しずつ取っていく私とは反対に、結稀は大雑把に砂を取っていく。
そして最後に倒してしまったのは結稀だった。
「私の勝ちだね。」
私が笑うと、結稀は突然真剣な顔をした。
「絢香、この砂の中からあるものをさがして。」
「は?何?」
「俺が負けたからプレゼントやるよ。」
意味もわからず私は残った砂の中を探る。
見つけたのは、飾りもなにもない指輪だった。