恋涙
時間が経つのは早くて、海はもうオレンジ色に染まってた。




「空、キレイだね。」


私がオレンジ色の空を見上げて言った。



「絢香ってさ、よく空見てるよね。なんで?」


結稀も空を見上げる。




「おじいちゃんがね、私に言ったの。おじいちゃんがいなくなって、もしさみしくなったら空を見なさい。って。」




「そっか。」




「私が落ち込んでるときって、必ず青空なの。」




「じゃあ、もし俺がいなくなったら同じように空を見て。落ち込んでる日は絶対青空にするから。」




「さっきプロポーズしてくれたばっかりなのに縁起でもないこと言わないでよ。」




「ごめん、ごめん。でも、俺は死んだら空になる。だから、お前はひまわりになれ。」




「なに、それ。」





「ひまわりはいつも上を向いてるって言うけど、本当は弱いから太陽の力を借りなきゃいけないんだよ。だけど・・本当はそうやって素直に誰かの力を借りられるって強いと思う。」




「それと私がひまわりになるのと何の関係があるのよ?」




「太陽は空の心臓だから。」





「お前は俺の心を一生見てればいいんだよ。」




「またそんな俺様的な~。」





「俺はひまわりが一番好きだからさ。」




「私は・・・」




「あじさいだろ。」




結稀は笑う。



この日の会話を今でも本当によく覚えてる。




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