恋涙
心の空白
2008年4月。
大学の新年度がスタートした。
大学の記憶が薄い私は、大学の行き方さえもよく覚えていなかった。
久し振りに見た友達は、知っている顔と知らない顔に極端に分かれていた。
怖い。
私は知らないのに、みんなは私を知ってる。
知っている前提で話をされる。
分からないことを話される。
その恐怖はきっと誰にもわからない。
初日もオリエンテーションが終わり、何人かの友達は私に話しかけてきた。
「よかったね。」
「がんばったね。」
単純にうれしかった。
何も分からなくても、ひとつだけ確かなことがある。
それは、私の帰りを待っててくれる人たちがいたこと。
だけど、一人の友達が私にこう言った。
「先生には連絡したの?」って。