恋涙
この頃からずっと同じ夢を見てた。
どこか、ホールみたいなところを私は走ってて、誰かを探してるんだけど会えなくて。
床にしゃがみこんで泣く夢。
だけど、顔をあげると男の人が手を差し伸べてくれるの。
その男の人が誰なのか思い出せなかった。
その人の顔は逆光で見えない。
結稀でもない、別の人。
その人の姿を見て、夢の中で私は安心している。
そんな夢も何度も続くと、精神的に追い込まれていった。
思い出せないのが気持ち悪くて、でも、誰にもわかってもらえない。
私は世界で一人ぼっちなんじゃないかって思った。
こんなことなら、手術の時に死んでればよかったんだって思うようになった。
そして私はついに記憶の全くない高校時代の日記を見ることを決心した。