恋涙
どうせ死ぬなら、あの海で死にたい。
もう、私の中に「生きる」という選択肢はなかった。
四月の終わりの休日。
私は車を運転してあの日、最後に二人で過ごした海に向かった。
六年経っても何も変わらない。
だけど、あの頃より海が濁って見えた。
二人で服を干した岩が、あの頃を思い出させるようにそのまま残っていた。
その岩に触れたとき、こらえきれない涙がこれでもかってほど溢れ出した。
「なんでおいて逝ったの。一緒にいるって約束したじゃない・・。」
そんなこと言ったって仕方無いのに、そんな言葉しか出てこない。
私はその場に崩れこんで、思いっきり泣いた。
もう死ぬしかない。
私は立ち上がって海の中へ入っていった。
もう、学校や家で明るくするのも精神的に限界だった。
これでいいと思った。