恋涙
生きる
私は彼の分まで生きなきゃいけない。
生きて、彼の代わりにいろんなものを見て、感じて、そうやって人生を歩いていかなきゃいけない。
強くなるって決めたのに。
生きなきゃ。
どんなに辛いことがあっても私は今まで生きてきたじゃない。
あの日より辛いことなんてないじゃない。
生きよう。
みんなに支えられた命、投げ出すわけにはいかない。
私は来た道を戻った。
またあの日と一緒でふいに後ろから呼ばれるんじゃないかと思った。
後ろを振り向こうかと思ったけど、ぐっとこらえた。
もう結稀はいないんだ。
それを忘れちゃいけない。
私は一人で生きていく。