恋涙
それからは辛い時は泣く、そう決めた。
それは秋人とした約束。
私が大学始まってから、すぐに秋人はオーストリアに帰った。
空港までは私が送っていった。
搭乗の待合い室は壁がガラス張りで、滑走路が見える。
飛行機も大きく見える。
「秋人・・・ありがとね。」
秋は入院中、本当にずっと私のそばにいてくれた。
だから、また会えなくなるのが寂しかった。
「結婚でもするか?」
秋人はそんな私の表情を察して冗談を言った。
「うん。」
私は冗談のつもりはなかった。
好きな人を思い出せないなら、秋人と一緒にいるほうがいい。
どうして私は秋人を好きにならないんだろう。
こんなにずっと私のことだけを考えて、私のそばにいてくれるのに。
どうしてなんだろう。