恋涙
結婚式は本当に大人数の人が来ていた。
旦那さんはある企業の社長で、とても顔が広い人だった。
私はこの結婚式のためにピアノの引き語りのプレゼントを用意していた。
私の出番になる前、司会の男性が「ここで新婦から幼なじみ5人にお手紙が贈られます。」と案内をした。
同じ席に座っていた私たち4人はまさかのサプライズに顔を見合せて少しだけ笑った。
「新婦の幼なじみの方々、前の方にいらっしゃってください。」
その言葉に私たちはウエディングドレスに身をつつんだ樹里の前に並ぶ。
司会の人が「五人」って言ったのは、きっと結稀も含まれてるんだと私たちは思った。
樹里がピンクの封筒から手紙を取り出し、私たちに向って一礼をした。
ここにもし結稀がいたら・・・
ここにもし6人が揃っていたら・・・
そんなことを考えている自分がいた。
きっとそれは5人全員が思ったことだと思う。
樹里は泣きそうな声で手紙を読み始めた。