恋涙
これは本当の樹里からの手紙。
本物は秋人が持ってるけど、みんな一枚ずつコピーを持ってる。
それくらい嬉しかった。
樹里は涙で言葉に詰まりながらも時間をかけて手紙を読んでいた。
その涙を旦那さんが拭っていて、本当に良い人に巡り合えたんだな、と思った。
樹里が手紙を読み終えると、会場からは大きな拍手が鳴り響いた。
私たち4人も涙が止まらなくて、だけど・・・笑顔だった。
いろんなことを乗り越えてきた私たちだから・・・
だからいつだって、どこにいたって私たちの絆は深い。
たとえ6人そろっていなくても、6人はずっと一緒。
そのあとの私の引き語りのプレゼントは涙で思うようにはいかなかった。
今までの思い出が頭の中を巡って、映画のワンシーンのように音楽と混ざり合っていった。
こんな風に私にも幸せな頃があった。
こんな幸せを夢見てた。
結稀は私が抱く遺影の中で静かに笑って樹里の幸せそうな笑顔を見ていた。