恋涙

樹里の結婚式は本当に幸せな雰囲気の中終わった。



私と秋人は日帰りだったため、すぐに空港に向かわなきゃいけなかった。



「またしばらく会えないけど、この子が生まれたら茨城に帰ってきてよ。」


咲が私の背中を叩く。



妊娠八か月のお腹は、今にでも生まれそうなほど大きかった。





帰りの飛行機の中。


秋人はまだ感動に浸っているようだった。





「結稀兄ちゃんが生きてたら結婚してた?」



秋人が真剣な顔で私に聞く。




「秋人から見てどう思う?」



私も真剣に聞き返した。




「法律を無視してすぐにでも結婚しそう。」




「それはないでしょう。」





「今でも思い出す?」




「何を?」




「・・・結稀兄ちゃんが死んだ日のこと。」



秋人が生半可な気持ちでそんなことを聞いたわけじゃないって思った。




「思い出すよ。今でも・・毎日。」





本当に今でも思い出す。




あの日の悪夢を。



二人が離れ離れになった日を。















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