恋涙
誤解
2002年、12月。
この年の冬はとても大切だった。
4月になれば私が受験生になる。
その次は結稀が大学受験になる。
だから、二人でゆっくりできる最後の冬休みだった。
12月24日は私たちの記念日。
その日までに茨城に行く予定だった。
終業式が終わったらその足で行くよって言おうと、私は結稀のケータイに電話をかけた。
だけど、呼び出し音が鳴っても出る気配がない。
私は結稀の実家に電話をかけた。
「もしもし。」
出たのは結稀のお母さんだった。
「あ、絢香です。」
「あーあっちゃん。久し振りね。元気だった?」
「はい。いつでも元気ですよ。」
「あっちゃん、結稀と結婚するの?」
その意外な質問に驚いた。
「え・・何でですか?」
「結稀がプロポーズしたんでしょ?」
「なんでそれを・・・。」
「結稀が言ってたのよ。結婚したいって。」
私は無言だった。