恋涙

誤解


2002年、12月。



この年の冬はとても大切だった。



4月になれば私が受験生になる。


その次は結稀が大学受験になる。



だから、二人でゆっくりできる最後の冬休みだった。


12月24日は私たちの記念日。


その日までに茨城に行く予定だった。



終業式が終わったらその足で行くよって言おうと、私は結稀のケータイに電話をかけた。




だけど、呼び出し音が鳴っても出る気配がない。




私は結稀の実家に電話をかけた。




「もしもし。」



出たのは結稀のお母さんだった。




「あ、絢香です。」




「あーあっちゃん。久し振りね。元気だった?」



「はい。いつでも元気ですよ。」



「あっちゃん、結稀と結婚するの?」




その意外な質問に驚いた。



「え・・何でですか?」




「結稀がプロポーズしたんでしょ?」



「なんでそれを・・・。」



「結稀が言ってたのよ。結婚したいって。」



私は無言だった。
< 147 / 366 >

この作品をシェア

pagetop