恋涙

死別


それから数日後の2003年、8月2日。



部活も引退し、母の勧めで次の日に茨城に行くつもりだった。



それは結稀に会いにいくことが目的じゃなかったけど。



もう嫌われたと思ってたから。





身支度をしているとケータイに着信があった。



それは柚也兄ちゃんから。


出ることになんとなく戸惑った。



今は何も考えたくなかったから。





私は一回目の着信を無視した。




それでも何回も着信は続く。



さすがに急用かな、と思って私は電話を取った。





「もしもし。」



「絢香・・。」



柚也兄ちゃんが泣いている。



「ど、どうしたの?」




「結稀が・・・死んだ・・んだ。」



言葉にならない声。




「結稀がなに?」



私はもう一度聞き返した。




「結・・稀が・・死んだんだよ。」








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