恋涙
言葉は耳から入ってくる。
ちゃんと「死んだ」って聞こえた。
だけど、頭がついていかない。
頭が「死ぬ」って意味をちゃんと理解してくれない。
涙も出なかった。
本人を見ていないから信憑性もない。
死ぬってどういうことだっけ?
誰が死んだの?
もう、頭がおかしかった。
「とりあえず、俺今から迎えにいく。」
柚也兄ちゃんは四時間かけて宮城まで迎えに来てくれた。
柚也兄ちゃんが着いたとき、私は電話を握りしめて放心状態だったそうだ。
着替えも何も持たないで、柚也兄ちゃんの車に乗った。
茨城に着くまで、私は一言もしゃべらなかった。
ただ、柚也兄ちゃんは隣でこらえきれない涙を溢れさせていた。
それを見て、嘘じゃないんだと思った。
そう思っても、涙は出なかった。
信じてたから。
ずっと一緒にいるって言葉を。