恋涙
結稀の家に着くと、もう家のまわりは葬式の準備に取りかかっていた。
これは夢なのか?
死んだのは結稀じゃない。
だって今日は青空だもの。
柚也兄ちゃんに支えられて玄関から入ると、結稀のお母さんが立っていた。
「あっちゃん、ごめんね。ごめんね。」
お母さんは私の肩をものすごい力で掴んで、崩れるようにして私に謝る。
「お母さんは何で泣きながら謝ってるの?」
私は柚也兄ちゃんに問いかけた。
その言葉に柚也兄ちゃんも声を押し殺して泣いている。
多分、このとき私はもう気づいてたんだ。
結稀が死んだってことに。
結稀のお父さんがお母さんを支えて立ち上がらせ、「結稀に会ってやって。」と、右奥にある座敷の部屋を指差した。
柚也兄ちゃんが私を支えながら、結稀の眠る部屋に連れていった。
部屋に入ると、咲や秋人が目を真っ赤にして座り込んでいた。
私を見るなりみんな余計に涙を流す。
私は部屋の中央に敷いてある布団の方へ向かった。