恋涙
私が近づくと、みんな部屋から出て行った。
部屋の中央で眠っていたのは・・・・
確かに結稀だった。
私の、好きな人だった。
頭のまわりを包帯で覆われていて、手にも包帯が巻かれている。
そっと頬に手をあてたら、すごく冷たかった。
この人は、もうどこか遠くに行ってしまったんだと、そのとき思った。
「なんで?」
その言葉を口にした途端、これでもかっていうほどの涙が流れた。
「どうしてよ!なんでよ!ずっと一緒にいるって約束したじゃない!」
私の大声に、咲たちが駆けつけてきた。
私はどうにもならない感情をただ眠る結稀にぶつけていた。
名前を呼んでも起きない。
「なんだ、来てたの。」って、笑顔を向けてくれない。
もう、大切な人の笑顔を見ることができない。