恋涙

結稀の火葬は祖父と同じところで行われることになった。



まだ姿があるから・・・


触れるから・・・



その感触があるから・・・



だからまた目を開けて笑ってくれるって信じてた。




火葬場に着くと、そこは驚くほど咽返るような死の匂いがした。



もう、彼の姿を見ることもない。



もう、二度と・・・。





最後にたくさんの人が棺の中で眠る結稀の姿を見た。



小中の同級生。



高校のクラスメイト。



最後の別れは涙で溢れかえっていた。



私は彼のお父さんとお母さんと一緒に最後に彼の姿を見た。





まっ白い顔をした彼の頬に触れて、最後に口移しで彼に水を飲ませた。




そのまま彼の胸に頬をあてて泣いた。



離れたくなかった。




「嫌だよ・・離れない!絶対やだ!」



私は結稀にしがみついた。




それを誰も止めようとはしなかった。



ただ・・・周りも私をかわいそうだと思って泣いているだけ。








< 158 / 366 >

この作品をシェア

pagetop