恋涙

あなたが死ぬなら私も死ぬ。


そう思った。



「どうして!やだよ・・なんで私を一人にするの!」



離れるのが怖くて、ここで手を離したらもう二度と会えないから、だから結稀から手を離すことができなかった。



20分以上、だだをこねた子供みたいに結稀にしがみついて泣いてた。


やっと止めてくれたのは秋人だった。



「絢香・・・もう送ってあげよう。」



秋人は私の肩を掴んで結稀から引き離す。



私はそれを振り払った。



「やだ!いやだ!離して!秋人になにがわかるの?」


秋人は一度私から手を離した。



それでも秋人は私を結稀から離そうとする。



今度は柚也兄ちゃんもそれを助けた。



私が押さえつけられている間に、結稀は大きな釜の中に入っていった。




その重い扉が閉まったとき、もう彼は違う世界に行ってしまったんだと思った。




二度と会えない扉の向こうの世界。




その扉が閉まった瞬間、私は立つことさえできなくなった。











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