恋涙

想い

個室に移って数日後から、私はリハビリに励んだ。


幸い大きな麻痺はなく、指先の感覚が多少鈍いくらいだった。



それでも、一生懸命リハビリをした。


記憶のないことなど忘れるくらいに。




とにかく早く帰りたかったんだ。


家に帰れば、何かを思い出すかもしれない。



きっと私は色んなものを残してる。



大学にも行ってみたい。


高校にも行ってみたい。



そしたら忘れてしまった人たちのことも思い出すかもしれない。




そんな小さな希望が心のどこかにあった。





私の過去を知りたい。



そう、思うようになっていった。
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