恋涙
「絢香!」
その声に気づいて上を見た。
咲がパジャマのまま泣いてこっちを見てる。
そして後ろを振り向いてだれかに手まねきをしている。
私は止められる、そう思って川の中に身を沈めた。
苦しかった。
だけど、結稀の苦しみはこんなもんじゃない。
早く死にたい。
そう思った私を水の中から引き上げたのは柚也兄ちゃんだった。
「お前何やってんだよ!」
柚也兄ちゃんは私の肩を掴んで私を揺さぶりながら泣いていた。
そこに咲も川の中に入ってきて、私の顔をみて、泣きながら私の頬を叩いた。
「これ以上、大切な人を失いたくない。」
柚也兄ちゃんは咲と私を抱きしめてこう言った。
「絢香が結稀の代わりに空を見てやれ。いろんなことを感じてやれ。お前が結稀の目になって、足になって、これから続く未来を伝えてやってくれ。」