恋涙

「だからって私にどうしろっていうの!?」


私は胸の奥にあった気持ちを爆発させた。



「樹里だって結稀と付き合わなくてよかったって思ってるんでしょ!今まで散々・・・。私は秋人のことなんて好きじゃない!」



私は樹里にも秋人にも酷いことを言った。



恋人を失ったからといって、言っていい言葉じゃない。



今でも後悔してる。




私はそのまま電車に乗って宮城に帰った。






電車の中で、もうこの風景を見ながらドキドキして茨城に来ることはないんだと思った。




ホームで結稀が待っててくれることも、電話をかけることも、メールをすることも、手をつなぐことも、彼の胸の中で幸せを感じることも



二度とない。




亡くなる少し前の「ごめん。」が、本当はどんな意味だったのかわからない。



病気のことは私に言わないと決めても、きっと心のどこかで罪悪感があったのかもしれない。




もうすぐ自分が死ぬと感じていて、何も知らない自分の彼女が急に恋人を失うその辛さを結稀は想像してたのかもしれない。




その「ごめん。」の意味は今でもわからないけど・・・






だけど、その本当の意味を聞くことはできない。







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