恋涙
中学の卒業式。
本当なら、この式が終わったらすぐに結稀に会いに行っていたと思う。
だけど、彼はもういない。
私はこれから新しい環境で、新しい友達を作って、これから先を生きていく。
樹里は結婚。
秋人は結稀と同じ高校に進学することになった。
樹里とは疎遠になってしまったが、大阪の高校に入学したと風の便りに聞いた。
もう、一人で生きていかなきゃいけない。
絶対泣かない。
彼を想って、誰かの前で涙を流したりしない。
そう心に誓った。
私が生きている限り、私たちの歩む道が重なることは二度とない。
それでも私が走ることをやめてしまえば、きっと今までの十年が無駄になると思った。
だから私は生きる。
強く生きたいと思った。