恋涙
分かってた。
秋人がその質問をしない理由を。
だから私もあえて彼の話をしなかった。
でも、ちゃんと覚えてたよ。
「秋人、いいの。私、結稀のことちゃんと覚えてるから。」
私の一言に二人は静まり返った。
咲は「良かった。」とだけ言った。
秋人は、何も言わずに窓辺から空を見ていた。
結稀は私たちの幼なじみ。
そして、五年前に死んだ私の恋人。
秋人の考えてることは分かる。
記憶を失うなら、いっそ彼のことを忘れてくれれば良かったと・・・。
だけど忘れるわけがない、彼のことを。
彼と過ごした十年間を。
幸せだったあの笑顔を。
秋人がその質問をしない理由を。
だから私もあえて彼の話をしなかった。
でも、ちゃんと覚えてたよ。
「秋人、いいの。私、結稀のことちゃんと覚えてるから。」
私の一言に二人は静まり返った。
咲は「良かった。」とだけ言った。
秋人は、何も言わずに窓辺から空を見ていた。
結稀は私たちの幼なじみ。
そして、五年前に死んだ私の恋人。
秋人の考えてることは分かる。
記憶を失うなら、いっそ彼のことを忘れてくれれば良かったと・・・。
だけど忘れるわけがない、彼のことを。
彼と過ごした十年間を。
幸せだったあの笑顔を。