恋涙
高校二年生、17歳の冬。
秋人から突然宮城に来ると連絡があった。
「大事な話がある。」と。
秋人のお母さんは宮城県出身で、秋人は実祖父の家に遊びに宮城によく来ていた。
だけど、今回は私に話があるからと、日帰りでの旅だった。
当日、私は駅まで秋人を迎えに行った。
結稀の命日以外は茨城に行かなくなったから、秋人に会うのも久しぶりだった。
電車から降りてきた秋人はなんだか少し痩せていた。
「久し振り。」
秋人の声を聞くのも久しぶりだった。
「久し振り。」
私も秋人に久し振りに会えてうれしかった。
三時間くらいしか滞在できないからと言って、私たちは場所を移した。
「で、大事な話ってなに?」
私は迷わず秋人に問いかけた。
秋人は躊躇うことなく話し始めた。
「俺、留学することになった。留学というか、父親がオーストリアに転勤で、家族全員でついていくことになった。どっちにしろ俺は留学したいと思ってたけど。」
秋人が留学を考えていたなんて、全然知らなかった。