恋涙

その紙一枚は私にとってすごく重いものだった。


考えて、考えて、私はその大学のAOを受験することにした。



先生からもらったエントリーシートを提出したのは一学期の終業式だった。



PC準備室まで私の教室からたった二十秒。


階段を下りればすぐだった。



だけど、志望動機の書かれた一枚の紙を持って先生のところに行くのは私にとってすごく勇気のいることだった。




PC準備室の前で大きく深呼吸をして、私はノックをして入った。



「失礼します。」


先生は机に向って仕事をしていた。



「あぁ、どうしたの?」



「志望動機、書いてきました。」



「受けるの?」


「はい。よろしくお願いします。」



「うん。今時間ある?」



「あー今から予備校が・・・。」


「そっか。明日から夏休みだし・・じゃあ、来週添削したやつ準備室のドアのボックスに入れとくから暇なときに取りにきて。」



「わかりました。」



私は準備室を出てこれでいいんだと思った。










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