恋涙
学校を出たのは、もう八時半を過ぎていたと思う。
自転車に乗って、校門からの坂を下って信号待ちをしていると一人の男の人が声をかけてきた。
「久し振りだね。」
振り返って私は驚いて声も出なかった。
その男の人は、書かなかったけど、中学生の時に私をストーカーして警察に捕まった男だった。
中学生のころによく部活帰りを待ち伏せされて、私が車のナンバーを記憶していて捕まったんだ。
「君の高校、もうすぐ文化祭でしょ?絶対行くからね。」
その男の人は私の自転車のかごを掴んでそう言った。
その瞬間、目の前の信号が青になったのが見えて、私は一目散に自転車を走らせた。
怖い。
助けて。
いつか、本気で殺されると思った。
だけど、親にも友達にも相談することはできなかった。
警察に行く勇気もなかった。