恋涙
文化祭の前日は、副部長の知紘も手伝ってくれた。
「ねぇ、顔色悪いけど大丈夫?最近痩せたよね?」
ストーカーのこと、知紘になら話せるかもって思った。
「最近ちょっとストーカーっぽい人に絡まれてさ・・。」
「え!?大丈夫なの?」
「うん。まぁ・・・」
「親とか学校には言ったの?」
「佐藤先生にだけ言ってある。先生には誰にも言わないでって言ってあるから・・・」
「なんで?警察にも相談した方がいいんじゃないの?」
「今はAOの試験前だし、取り調べとかで忙しくなりたくないの。それに親には言いづらい。」
「うーん・・でもさぁ・・。」
「まずは明日の文化祭の準備しちゃおう!この話は終わり!」
私は半ば強引に話を終わらせた。
その日は予備校も休んで、知紘と一緒に帰ったから、あの男に会うことはなかった。
だけど、「文化祭に来る」という言葉が、私を不安にさせていた。
もし何かあったらどうしよう・・・
その日は一睡もすることができなかった。