恋涙

人ごみに紛れて、私の服の中に誰かが手を入れてきた。


「きゃあ-!」



私の声にみんな振り返る。


「え!?どうしたの?」


その場にうずくまる私に友達が声をかける。


「誰かが服の中に手を・・・!」



私は友達と職員室に行って事情を説明することにした。



手が震える。



だけど、あの男かどうかはわからなかった。


顔を見ていないから。





職員室に行くと、二年生の時の担任の熱海先生がいた。



「熱海先生、今変な人が・・・。」



一緒にいた友達が震えて何も言えない私の代わりに事情を話してくれたけど、先生は「気のせいだろう。」と言って信じてくれなかった。





なんで信じてくれないの?



佐藤先生だったら絶対信じてくれるのに。



悔しかった。
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