恋涙
その日の放課後、みんなが文化祭の片づけをしている中、私は担任の先生に呼ばれて職員室に向かった。
職員室に入ると隣の会議室に行くように言われ、私は職員室を通って会議室に入った。
「失礼します。」
そこにいたのは進路指導の堀田先生。
私は堀田先生の前に静かに座った。
「今日、変質者にいたずらされたって聞いたんだけど本当ですか?」
さっきは信じてもらえなかったのに、熱海先生が一応報告したのかと思った。
「はい・・・。」
「君は最近様子がおかしい。他に何かあったんじゃないのか?」
この言葉にちょっと不信感があった。
ただたまたま変質者にあっただけって考えるでしょ、普通。
なのに、堀田先生はまるで私がストーカーにあっているということを知っているような口調だった。
だけど、私は「何かあったんじゃないのか?」っていう言葉に涙をこらえることが出来なくなった。
声を押し殺すことができないほど泣いて、少しおさまったところで私は息を整えた。
そしてこう言ったんだ。
「何にもありません。」