恋涙
先生は歩いて学校に来ていた。
学校から徒歩三分。
「車、取ってくるから。」
先生は急いで車を取りに行った。
戻ってきて、私と知紘は先生の車に乗った。
高校からうちまで車で約20分。
だけど、すごく短く感じた。
家に着くと、先生は「ちゃんと戸締りしろよ。」とだけ言って、そのまま今度は知紘を送っていった。
その車が見えなくなるまで、私はずっと見てた。
家に入る前に郵便ポストを覗くと、一通の手紙が入っていた。
宛名も、送り主の名前も書かれていない白い封筒。
中を開けると、そこには何も書かれていない便箋が入っていた。
その便箋からは、香水のような匂いがする。
「何これ・・気持ちわるい。」
ふと、封筒の中に便箋以外のものが入っていることに気付いた。
取り出すと、それは十字架のチャームだった。
“殺される”
本気でそう思った。