恋涙
そんな事件も続いて、面接の練習をする時間はほとんどなかった。
AO入試前の最後の面接練習。
と言っても、練習なんてしなかった。
PC準備室でいつものおしゃべり。
くだらない話。
それが私にとって一番楽しい時間だった。
だけど、私は無理に笑ってた。
絶対もうストーカーのことを先生には相談しない。
そう決めていたから、先生の前では笑おうって思ってた。
「練習しない?」
先生が私に言った。
「うーん。今日はそんな気分じゃない。」
私は先生の隣にある机に顔をつけて先生の方を見た。
「じゃあ、送っていくよ。」
先生が帰る支度を始めた。
いつもは「いいよ。」っていう私だけど、そのときはなぜか「うん。」って言った。
きっと、先生は私が気を遣ってストーカーのことを言わないんだってわかってたんだと思う。
私は校門のところで先生が車を取ってくるのを待った。